歌舞伎役者絵の専門集団として江戸浮世絵界を牽引した伝統ある流派
鳥居派は鳥居清信(1664-1729)によって創始された、歌舞伎役者絵を専門とする浮世絵の流派です。 江戸歌舞伎の隆盛と共に発展し、劇場専属の看板絵師として独特の地位を築きました。
「ミミズ描き」と呼ばれる力強い線描が最大の特徴で、歌舞伎役者の動的な演技を 表現するのに適していました。赤と黒の鮮烈な対比効果により、劇的な印象を生み出しています。
太く力強い筆線で人物の輪郭を描く技法。線にうねりと強弱があり、 まるでミミズのような形状に見えることからこの名前が付けられました。 この技法により、歌舞伎役者の力強い演技と感情表現を効果的に表現できました。
鳥居派は日本で最初の「専門特化」した絵師集団として、 後の芸術界における分業システムの先駆けとなりました。 一つの表現技法を極めることの重要性を示した歴史的意義があります。
江戸時代の庶民文化、特に歌舞伎文化の記録者として、 当時の演劇界の様子を現代に伝える貴重な資料を残しています。 文化の記録・保存機能も果たした重要な存在です。